ベイト工法とバリア工法
シロアリ駆除の方法としては薬剤を散布する「バリア工法」がおなじみですが、健康面への配慮から、最近では薬剤を撒かずに駆除できる「ベイト工法」が注目を集めています。ここでは「ベイト工法」と「バリア工法」の違いについてご紹介します。
ベイト工法とバリア工法の特徴
ベイト工法とは
シロアリの習性を利用して巣ごと根絶させる工法です。シロアリは脱皮をしないと生きられないという特徴があります。そこで家の周りの地中にステーションと呼ばれる容器を埋め込み、そこにシロアリの脱皮を阻害する作用がある薬剤入りのエサを仕込んでおきます。そして、シロアリが仲間にエサを分け与える習性を利用し、巣全体に薬剤を行き渡らせ、少しずつ全滅に追い込んでいきます。ただし、効果を発揮するのは脱皮の時期であり、脱皮の時期は巣中のシロアリごとにそれぞれ違うため、効果は段階的に現れる形になります。
バリア工法とは
土台の木部や床下の土壌部などに薬剤を散布・注入するなどしてバリアを作り、地下にいるシロアリが建物に侵入できないようにする工法です。従来からシロアリ被害の防除に効果を発揮してきた工法ですが、施工には高い技術が必要で、施工者の技術が未熟だとシロアリの侵入を許すケースも少なくないようです。薬剤処理をした箇所については即効性がありますが、そもそもが巣の根絶を目的としない工法であるため、既に建物内にシロアリが侵入している場合などは効果は期待出来ません。
工事の規模と効果の持続期間について
バリア工法の場合、薬剤散布が中心となるため、場合によっては工事が大がかりなものとなったり、居住者の避難が必要になるケースもあります。また、環境への配慮から施工範囲は床下などに限定されるのが一般的であるため、以前から屋外のシロアリ対策への弱点が指摘されています。
バリア工法による効果の持続期間は、施工後5年~10年とされています。
一方、ベイト工法では、薬剤入りの容器を家の周りに埋め込むだけの比較的簡単な工法であるため、工事が大がかりになったり、居住者に負担がかかるようなことは一切ありません。
ベイト工法では、容器内の薬剤の状態を定期的にモニタリングしたり、シロアリの食害が確認された場合は薬剤の交換などが必要になりますが、容器を設置している間は永続的に効果を発揮し続けます。
安全性について
薬剤を散布するバリア工法の場合、体質によっては、薬剤に含まれる化学物質の臭いやアレルギーに悩まされるケースもあるので注意が必要です。最近では、臭いが少なく、居住者やペットの健康に配慮した比較的安全な薬剤も出回っていますが、ご家族に化学物質に対して過敏な体質の方がいる場合は、医師に相談した上で検討されることをお勧めします。
これに対し、ベイト工法では、薬剤入りの容器を地中に埋め込む工法のため、人や動物に影響をおよぼす心配がありません。使用する薬剤自体もシロアリなどの脱皮をする生物に対してのみ効果を発揮するものであり、また使用量も微量で、化学物質特有の臭気もないため、居住者やペットにとって極めて安全・安心な工法であると言えます。